「テグさんが涙を流した後……」
遠藤航、リオ五輪からの再スタートとシンプルな答え
開幕間近。遠藤航が語る、対戦国の特徴と、日本代表のストロングポイント
■「結果」から見えた、自分の現在
「タンタタタンタン」
何も言わず、手を打つ僕。それにあわせて「タンタン」と手を叩くメンバー。
こうして、大きな目標だったオリンピックは終わりを告げました。
なぜ、僕が何も言わなかったのか――。
それは、当然負けたショック、このチームとの別れといった感傷的な要素もありましたが、なにより僕自身が自分の現在位置をはっきりと自覚したからでした。世界のレベルのなかで、自分のいる場所は、目指している場所とはっきりと、そして大きな差がある。
この大会でそれを痛感させられました。
ミスもあったし、自分のパフォーマンスに納得できないところは多々ありました。一方で、多少なりともできるところもあったと思います。ふだんやっていないボランチというポジションの難しさを再確認もしました。
でも……あのミーティングの段階、試合が終わった直後に思ったことは、「だからと言ってこれ以上何ができたのか。何も浮かんでこない」ということだったのです。
親善試合で戦ったブラジルは別格でしたが、それ以外の3チーム、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンに関してはやりあえる部分も感じていました。1勝1敗1分という結果がどういう判断をされるか、分かりません。ただ、唯一分かることはグループリーグで敗退してしまったという事実でした。
だとしたら、これはいまの自分の実力だ。
その思いが、僕に何かを話す気力を失わせていました。話す言葉が出てこない。チームメイト、監督、スタッフといったみなさんには感謝しかなかったのですが……。